日本で行われる葬式の90%以上は仏教と関わる葬式です。しかし、近ごろは仏教による葬式の高額な葬式料や通夜や葬儀を行うことへの意味を見出せない家族が増えている。

その一方で、費用が安く手間がかからないという理由から、都市部を中心に直葬を選ぶ家族が全体の3割に達し今後も増え続けるとの予想がある。本来、「直葬」という言葉は警察用語の「直送」の意味で使われており、路上死や山や海で遭難して身元引受人が現れない遺体を直接火葬場に送り収骨だけをすることを指していたようです。

ただ、最近ではネットや新聞の折込チラシで使われる「直葬」の意味は通夜や葬儀等の葬式一切を行わず、早ければ亡くなって24時間経過後に火葬場で荼毘に付す(遺体を火葬する)ことを指して使われる事が多い!

安くて簡単に葬式を済ませるという事を前面に打ち出し「直葬」を宣伝する葬儀社が増えているのは、それだけニーズがあるからだと思います。

ところが、「直葬」を行なった家族の中には時間の経過とともに、お世話になった人の最後を何の儀式も行わず送り出してしまった事に対して、罪の意識に苛まれるケースが増えているようだ!

安易に「直葬」を選んだ代償は「心の拠り所」を失ってしまう事!

以前の直葬は身元引受人の無い遺体や葬式費用を支払えない家族が悩んだ末に最終的に選択する葬儀スタイルのひとつとされてきました。しかし、近年では葬儀を行いたくないもしくは葬儀を行なってほしくない家族までもが直葬を選択されるといいます。

昔の人には死を持って全てを帳消しするとの考え方が基本だった!

直葬を選ぶ家族と遺体となった故人との間柄がどのような関係であったのかはご知る由もないですが、むかしの日本には「死をもって償う」といった独自の価値観があり「死ぬ」ということで生きている時に行なった善行や悪行を全て無に帰すという考え方があったといいます。

現在では”死んでもお詫びにならない”という価値観のほうが大きいようですが、過ぎてしまった善行や悪行は引きずれば引きずるほど心に暗い影を落とすもの!

わたし達の先祖が何世紀もの間、仏教の葬式を続けてきたのにはキチンとした理由があります。通夜や葬儀を行うのは故人と縁のあった人どうしを結び、良い事も悪い事も全てひっくるめ、思い出話しをして感傷に浸ることで「過ぎてしまったものは仕方ない」と過去の良い記憶や苦々しい記憶にひと区切りをつけ、気持ちの整理をする為の時間を持つためだとされています。

仏教でいう法要はカウンセリングと同じで遺族の心のケアをしている!

仏教の葬式で初七日法要や忌明け(四十九日)法要など、亡くなってから三十三カ年ものあいだ追善供養するのは、実は故人の為ではなく残された家族の心の拠り所を失くさないようにする願いが込められているのです。

人間とは集団生活の中でしか生きていくことが出来ないということを、仏教を説いた釈迦はよく知っていたのでしょう!生きている間にひとりぼっちになっても、仏壇に向かって故人や先祖に手を合わせることで気持ちが安らぎ毎日を生きる糧ができる。無宗教と云われる日本人の心を繋いでいたのは他ならぬ仏教という儀式だったのですね!

ただ、残念なことに葬式でしか見ることのない僧侶とわたし達との距離は離れる一方で、仏教の葬式に対する理解も薄まっていることが多く僧侶=金の亡者と考える人が増えているように思えます。

ですが、僧侶といっても慈善事業でない以上食べていかなければいけません!お経を読んだり戒名を授けるときに貰うお布施はいわば僧侶の給料のようなものです。寺院を持っているのであれば運営資金に宛てないといけませんし、弟子が居るのなら養っていく費用が必要になってくる。

全てを任せるのではなく提案や交渉するクセをつけること

寺院や僧侶にも問題がないとは言い切れませんが、葬式を行う家族自身も受け入れるばかりではなく提案することも時には必要です。その為に事前に相談をして読経料や戒名料について金額の折り合いを付け納得することが大切になってきます。

自分の趣味や子どもの将来・マイホームの購入など現在進行形の価値にはお金をつぎ込むのに、大切な人の死に目にはお金を節約したいという考え方がいいのかは本人の価値観なのでどうこうは言えません!

ですが、直葬を行なったばかりに後々後悔して精神が不安定になり、カウンセリングを受けること考えると、葬式を行ない通夜もしくは葬儀によって気持ちの整理をすることは支払うお金以上に価値があると思います。

『直葬』は最後の選択肢、まずは他のプランの見積りを取り検討して

最近では葬儀社の提案する葬儀プランも豊富になり選択肢が広く早めに葬儀の相談をすると割引サービスを行う業者も増えています。

出来ることなら、家族が亡くなられてから慌てて葬式を決めようとせず、常日頃「もしも」の時に備えて準備をしておくことで費用を抑えることに繋がります。

とりあえず直葬は最後の選択肢として残しておき、まずはどれぐらいの費用が用意できるのか、もしくは最低限の葬式は何処まで出来るのか複数の葬儀社から見積もりを取り寄せ検討することから始めてみませんか?