失礼な言い方ですが・・・日本が直面している少子高齢化社会という現象は、遺産を受け継ぐ相続人にとって都合がよいことなのかもしれません!

というのは、1世帯あたりの子供の数が少なければその分、被相続人が残した財産をそっくり受け継ぐことができますし、なにより相続人がいないので親族間同士の揉め事が起きにくい状況が環境として整っているからです。

ひとりっ子の両親が離婚している状態で、親の遺産を相続するのであれば相続財産の分割なんて面倒なことを考えなくてもよいですし(汗)

実際、複数の相続人で行なう遺産分割では、被相続人の財産を巡って「骨肉の争い」を繰り広げた結果、親族間の関係が冷えきってしまうことが少なくないといいますから(汗) よかれと思って財産を残した被相続人からすれば迷惑な話でしょう・・・

ただ、日本の法律では、こうした問題に対処するため遺産分割の方法について、親族間内の取り決めに従う①:指定分割 ②:協議分割 や親族間の紛争に発展するのを防ぐ為、家庭裁判所へ申し立てして分割を行なう③:調停分割 ④:審判分割 といった4つの分割方法を設けています。

本来は大前提である、被相続人が残した遺言の内容に従う「指定分割」

親や兄弟など被相続人が残した遺産の分割について、遺言書によって財産の分割方法を指定している場合は「遺言による相続は法定相続に優先する」という大原則に基づいて分割が行われます!

つまり、被相続人が遺言書を残している場合は、その他の分割方法(協議・調停・審判)よりも優先して遺言書に記されている分割方法に従ってくださいってこと!

財産の持ち主である被相続人が遺言書に記してまで財産分割を指定しているのですから、優先順位が一番高いのは当然といえば当然でしょう!

このように被相続人の残した遺言書の通りに財産分割を行なうことを「指定分割」といいます。

指定分割を行なう場合は、法律で定めた相続分配額と異なっていても、原則として遺言書の内容に従います。

ただし、例外もあり次の2つのケースでは「指定分割」に従わなくてもよい

1:被相続人が残した遺言書の内容によって相続権を侵された、配偶者とその子供など(本来であれば法定相続人としての権利と義務を持つ遺族)から遺留分の請求があった場合!

2:遺言書の内容について変更することに対し、相続人全員が合意を得ることが出来た場合は遺言書の指定に従わなくてもかまいません!

例えば、遺言書に「遺産に関する一切の権利と義務は配偶者に譲渡する」と記されていた場合で、配偶者自身が子供に分けたいと考え、子供らもそれを受け入れたケースでは、遺産を親子で分配することが可能となります。

また、遺言書に「遺産は兄弟5人で均等に分配すること」と記されている場合でも、話し合いにより長兄に遺産の5割を、残りを4人で均等に分配したいと考え、相続人全員の合意を得ることが出来れば、遺言書の内容に従わなくてもよい!

被相続人が遺言書を残していない場合は、相続人全員の話し合いで財産を分割する「協議分割」

財産を譲る側である被相続人(親や兄弟)が遺言書を残していない場合で、相続人が複数いるのであれば、相続人全員で話し合って財産の分割を行います。このように相続人全員の話し合いによって財産を分ける方法を「協議分割」といいます!

協議分割では、遺言書によって分割方法を指定されていないため、法で定めた法定相続分を目安にプラス財産(不動産・預貯金・有価証券)やマイナス財産(借金、掛け金、損害賠償責任)等の財産リストを作成し、相続人各々の意見を取り入れながらどのように財産を分けるのか話し合いをして、それぞれの取り分を決めていきます。

ただ、どうしても話し合いがまとまらない場合は法定相続分に従って財産分割を行います。協議分割で法定相続分に従う場合は、被相続人から生前贈与や遺贈を受けた人「特別受益者」や「寄与分」を受けた人の持ち分についても考えながら協議を進めていきます。

法定相続分に従って財産分割を行っても、不満を持つ相続人がいる場合は相続人全員の合意を得ることはまず無理と考えたほうがよいでしょう(汗) 

なので、協議分割で話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所に申し立てを行い「調停分割」もしくは「審判分割」によって財産を分けることがほとんど!

それと、万が一相続人同士での話し合いが上手くいき全員の合意が得られたのであれば、急いで「遺産分割協議書」を作成して証拠として残しておくことです。

そうしなければ、後になって「俺はいってない、覚えてない」とか「私は知らない、聞いてない」など協議分割の合意について水掛け論になってしまい、財産分割の話し合いが振り出しに戻ってしまう可能性もゼロではありません!

よく言いますでしょ、『測り難きは人心』って・・・

※作成した遺産分割協議書には、相続人全員の署名もしくは記名と実印による押印が必要となります!

※遺産分割協議書は相続人の数だけ作成し、各自1通ずつ保管すること!

※遺産分割協議書の作成は、義務ではなく、あくまで証拠書類として残しておくという位置づけです。なので、遺産分割協議自体は口頭でも成立します。

ですが・・・不動産登記や預貯金および株券などの名義変更・相続税の申告時に財産リストや遺産分割協議書などを用意しないといけないので、できれば早い段階で作成したほうがよいでしょう!

遺産分割協議がまとまらなければ「調停分割」もしくは「審判分割」の申し立てで決着をつける!

被相続人が残した財産の分割について、相続人同士での話し合いが平行線をたどり、分配方法が決まらなければ、協議分割はいつまでたっても成立しません!

協議分割が面倒なところは、相続人に一人でも反対意見を持っていたり不参加の意志表示をする人がいれば協議として成立できない決まりになっていること(汗)

ただし、そのような状況を打破するため、相続では家庭裁判所に「遺産分割の調停」もしくは「遺産分割の調停」の申し立てをして第三者機関の指示を仰ぐことが可能となっている!

第三者の立ち会いのもと遺産の分割について妥協点を見つけ協議をまとめる「調停分割」

家庭裁判所に申し立てを行なう「調停分割」では、非公開の場所で家事審判官と調停委員の立ち会いのもと、相続人が集まって財産の分割方法について話し合いをして、合意できる妥協点をみつけ調停を成立させます。

この時、相続人は家事審判官および調停委員から、財産リストの作成方法や分割方法の種類についてアドバイスを受けることもできます。

調停分割は、相続人の話し合いによって出た結論をもとに協議の内容を当事者が決定して調停を成立させるまで延々と続くことになります。

打開策としては、反対の意志を表明している人や協議に参加しない相続人を説得出来るか否かがポイントとなってきます。

相続人の意志とは無関係に家庭裁判所が独自の調査を行い分割を命じる「審判分割」

審判分割による財産の分割は、相続人の意志は反映されず、家庭裁判所に申し立てを行った時点から家事審判官の裁量によって強制的に財産の分割を命じられます。

つまるところ、協議分割や調停分割で相続人同士の話し合いがまとまらず、最後の手段である法の判断によって被相続人が所有していた財産を、相続人に対して強制的に等しく分配しようということです!

ただ、審判分割に対して不服がある場合は「高等裁判所」へ異議申立てをして、訴訟を起こし争うことも可能でが、ほとんどの場合、すぐに調停分割に回され、調停が不成立となった場合は審判分割に移行するのを何度も繰り返すだけ!

結局、財産の分配について不満がある相続人は、当事者同士の話し合いで妥協点を見つけるか、もしくは相続権を放棄するしか選択肢はないのかもしれません(汗)