被相続人が生きている間に、不動産や動産などの財産を貰ったり、遺言により財産譲渡(遺贈)の権利を得るなど、被相続人が所有する財産の一部を譲り受けた相続人を『特別受益者』といい、生前贈与や遺贈によって得た財産のことを『特別受益』といいます!

相続人の中に生前贈与や遺贈により特別受益を受けた人がいる場合、受け取った財産を考慮せずに遺産分割協議を進めてしまうと、他の相続人の取り分に不平等が生じるおそれがあります。

そのため民法では、生前贈与や遺贈によって得た財産について、相続財産の前払いとみなし、特別受益者の相続分から差し引くことで公平性を保っています!

  • 特別受益の差し戻し:生前贈与や遺贈で得た財産は特別受益として、相続財産に加算したうえで分割し、特別受益者の相続分から差し引かれる

例えば、長男は父親から新築を購入するときに600万円受け取っているのに、二男は何も受け取っていない場合、父親が死亡してから遺産分割協議で生前、長男が貰った600万円が相続財産とみなされなければ、二男は損をしてしまいます。

なので、民法では、何も贈与されなかった相続人との公平性を考え、特別受益者については特別な計算方法で相続分を算定を行っている!

ただ、遺言に「特別受益の持ち戻しを免除する」とある場合や、遺産分割の際に、特別受益者以外の相続人全員が「特別受益分は考慮しない」と認めた場合は遺産に含めなくてもOK!

生前贈与や遺贈の対象となるケースは???

特別受益の対象となる贈与には、

  • ①婚姻・養子縁組の時の持参金や支度金
  • ②:嫁入り道具のための贈与
  • ③:独立資金の援助
  • ④:学費援助
  • ⑤:新築購入費用

・・・など、生計の資本と考えられる贈与が対象となっている!

また、遺言書で特定の相続人が受けた遺贈は、受遺者の法定相続分に加算されるだけでなく、特別受益として法定相続分から差し引かれる!

特別受益によって得た額は、相続開始時の評価額に換算されます!

生前贈与や遺贈によって得た特別受益は、得た時点での価格で評価を受けるのではなく、相続が開始される時の評価額に換算される!

なお、生前贈与によって得た財産をすでに使い果たしてしまっている場合も、ある物として評価額に加算されます。

相続人それぞれの相続分の算定方法については、実際の遺産額に特別受益額を加算して、その総額を法定相続分で分割していく方法が一般的です。特別受益者は、そこから生前贈与や遺贈によって得た特別受益分を引いた差額を相続することになる!

一般的な例として、子供3人(兄弟)が相続人で、遺産が9000万円、3男が独立資金として3000万円(相続開始時の評価額)の生前贈与を受けている場合、遺産の9000万に特別受益額の3000万をプラスした1億2000万に、法定相続分の3分の1を掛けた4000万円が兄弟それぞれの相続分となっている!

この場合、長男と二男は4000万円ずつ相続することができますが、3男は4000万円から特別受益文の3000万円を引いた1000万円が相続分となります。

特別受益分が遺留分を侵害するケース

例えば、兄弟4人が相続人のケースで、遺産が1200万円、長男だけが新築購入時に1億800万円を生前贈与されていたケース!

この場合、遺産の1200万円に特別受益分の1億800万円を加算した1億2000万円に法定相続分の4分の1を掛けると、1人分の相続分は3000万円となります。

ただ、遺産は1200万円しかないので二男・三男・四男が貰える相続分はそれぞれ400万円となり貰える額が少なくなってしまう・・・

このケースの場合、弟達が貰える相続分はそれぞれの遺留分の1000万円(1億2000万円×1/4*1/3=1000万円)を下回ってしまいます!

つまり、遺留分を侵害することになるので、侵害された弟3人は、『遺留分の減殺請求』を行い、それぞれ不足分の600万円(遺留分1000万円-400万円=600万円)を長男に対して請求ことができる!

ただ、ひとつ注意しておきたいのが、生前贈与や遺贈などによって得た特別受益分が法定相続分を超過していても、遺留分を侵害しなければ、超過分を他の相続人に支払う必要はありません!