相続でよく耳にする言葉に、特別受益者と特別寄与者があり、どちらも被相続人の財産を受け取るという点では同じですが、受け取るまでの過程が多少異なっています。

特別受益者とは、被相続人が生きているときに結婚資金、学費、マイホーム購入費の一部負担・・・などの生前贈与や遺贈といった特別な利益を受けた法定相続人のこと。

それに対し、特別寄与者とは被相続人が生きているときに家業の手助けをしたり、病気がちだった被相続人の看護に努めるなどして、被相続人の財産の維持や増加に特別に貢献してきた人のこと。

ただ 残念なことに、特別寄与者と認定されるのは法定相続人だけです。。。

つまり、「夫婦同然に暮らし、家業を助けた内縁の妻」や「被相続人の介護を懸命にこなしてきた長男嫁」などは相続権を持っていないので、どんなに財産の維持や増加に貢献したとしても特別寄与者にはなれません(泣)

また、特別受益分を遺言で指定すると法的効力を持ちますが、特別寄与分については遺言で指定しても法的効力を持ちません!これは、特別寄与分について被相続人が指定する権限を持っていないからです。

特別受益の持ち戻しは公平性を保つために生前贈与や遺贈に対して行なう

相続人の中に生前贈与や遺贈を受けた特別受益者がいた場合、特別受益分を考えずに遺産分割を行ってしまうと、他の相続人に対して不公平が生じてしまうことになりかねません!

そのような事態を防ぐ手段として、生前贈与や遺贈により得た財産を”相続財産の前渡し”として、特別受益者の相続分から差し引きます。この手段を『特別受益の持ち戻し』といいます。

なお、特別寄与者の相続分から特別受益を差し引いた結果、他の相続人の遺留分を侵害していた場合、その差額を他の相続人に変換しなかればいけません!

ただ、特別受益者以外の相続人全員が遺産分割の際に「特別受益分は分割財産として考慮しない」と認めた場合に限り、特別受益の持ち戻しは行わなくても良いことになっている!

もしくは、被相続人が遺言書に「特別受益の持ち戻しは免除する」と書いておいた場合も特別受益の持ち戻しは免除されます。

  • 特別受益の持ち戻しは遺言もしくは相続人全員の同意で免除できる!
  • 『特別受益の持ち戻し』の対象は、結婚・養子縁組・独立資金・学費・マイホーム購入などの贈与および遺言による遺贈など・・・

特別寄与分の対象者は法定相続人のみ・・・

特別寄与分は法定相続人にのみ認められており、内縁の妻や長男嫁などは、被相続人に対し財産の維持や増加に貢献しても寄与分が認められることはありません!

もし、内縁の妻や介護に尽くした長男嫁など相続権のない人に財産を譲りたいのであれば、遺言書による財産の贈与「遺贈」が有効な手段となります。

なお、特別寄与分は生前贈与や遺贈などの特別受益分と異なり遺言に書いても法的効力を持ちません!なので、特別寄与分について遺言で残す場合は、法定相続人が客観的な判断ができるよう、具体的な根拠を示す書類等を揃えておくとよいでしょう!

法定相続人の判断に委ねられる特別寄与分はトラブルに発展しやすい!

特別寄与分は法定相続分とは別枠で財産を受け取ることになるため、相続人の私利私欲が混入しやすいようです。

実際、被相続人の事業の手助けしたり毎日の介護によって、どのくらい財産の維持や増加に貢献できたという事について、証拠となる書類が残っているケースは稀。。。

また、被相続人と同居して介護をしていたケースでも、親子であれば扶養義務(面倒を見る)があるので、通常の世話や介護は寄与と認められなません!

さらに頭を抱える問題が、特別寄与分の認定には、法定相続人全員の同意を得る必要がある点。。。

法定相続人同士で、なかなか話がまとまらない場合は、寄与した者が直接家庭裁判所に請求を申し出て特別寄与分の可否を決定してもらいます。

ただ、家庭裁判所では、寄与の時期や方法、程度および遺産額など全体を考慮して可否を決定するので、申請する内容によっては法定相続人の合意を得る以上に厳しい返答をもらうことになるようです。

いずれにしても、特別寄与分者と認定される為には、①:対象となる者が法定相続人であり、且つ、②:被相続人の財産の維持や増加に貢献したことが分かる具体的な証拠書類を揃えなければいけません!

  • 特別寄与分とは被相続人の財産の維持や増加に貢献した人が、法定相続人の合意により得る利益
  • 特別寄与分は法定相続分とは別枠で財産を受け取ることが可能なためトラブルが起きやすい!